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YAMLを使ったプロンプト作成・管理の完全ガイド【ImageFX】

ChatGPT

Googleの画像生成AI「ImageFX」、触ってみましたか?
テキストから驚くほど多様な画像を生成できて、本当に面白いですよね! 新しいアイデアを形にしたり、ユニークなビジュアルを作成したりするのに強力なツールです。

でも、ImageFXを使っていると、こんな風に感じたことはありませんか?

「人物の服装だけ変えたいのに、毎回プロンプト全体を書き直すのが面倒…」

「前にうまくいったあのプロンプト、どこにメモしたっけ?探すのが大変…」

「要素が増えてくると、どこを直せばイメージに近づくのか分かりにくい…」

せっかくの素晴らしいツールなのに、プロンプトの扱いにくさで「あと一歩、惜しい!」となってしまうのは、もったいないですよね。

実はその悩み、プロンプトの「管理方法」を見直すだけで、ぐっと改善されるかもしれません。

この記事では、多くの設定ファイルなどでも使われているデータ記述形式「YAML(ヤムル)」を使ってImageFXのプロンプトを整理し、あなたの画像生成の精度と効率を格段に上げる方法をご紹介します。

なぜImageFXのプロンプト作成・管理は難しいのか?

具体的な方法に入る前に、なぜプロンプトの管理が課題になるのか、少し整理してみましょう。

複雑化

生成したい画像の要素が増えれば増えるほど、プロンプトは自然と長くなります。「青い目の猫、赤いソファの上、窓からの柔らかい光、背景は本棚、油絵風で…」といった具合に要素を足していくと、あっという間に長文になり、全体像を把握するのが難しくなります。

再利用性の低さ

一度作ったプロンプトの一部だけを変更したい場合、長いテキストの中から該当箇所を探して修正するのは手間がかかります。「あの時のキャラクター設定はそのままに、背景だけ変えたい」と思っても、コピー&ペーストや修正が煩雑になりがちです。

一貫性の欠如

似たようなテーマやスタイルで画像を複数生成したいのに、毎回微妙にプロンプトの書き方が変わってしまい、意図した統一感が出せないことがあります。

試行錯誤の難しさ

生成された画像がイメージと違う時、長いプロンプトのどの部分が原因なのか特定し、修正するのは勘と経験が必要になります。「明るさを変えたい」「質感を調整したい」と思っても、どこをどう直せば良いか迷子になりがちです。


これらの課題は、プロンプトを単なる「長いテキスト」として扱うのではなく、構造化して管理することで解決の糸口が見えてきます。そこで登場するのがYAMLです。

解決策としての「YAML」とは?

YAML

「YAML(ヤムル)」と言われてもあまり聞きなれない言葉に感じるかもしれません、。でも、今回活用するのは、YAMLの非常にシンプルな部分だけです。

YAMLは「YAML Ain’t Markup Language」の略で、人間が読み書きしやすいことを重視して設計されたデータ形式です。設定ファイルやデータのやり取りによく使われています。

ポイントはたったの2つです。

  1. の形式
    「項目名: その内容」という形で情報を記述します。(例: color: red
  2. インデント(字下げ)
    インデント(スペースやタブによる字下げ)を使って、情報の階層構造やグループを表現します。

まるで、箇条書き項目立てでメモを取るような感覚で、プロンプトの要素を整理できるのがYAMLの魅力です。

ImageFXとYAMLの相性が抜群な理由(メリット)

構造化による可読性向上

プロンプトに含まれる要素を「被写体」「背景」「スタイル」「ライティング」「除外したい要素」のように項目分けできます。

これにより、どんな指示を出しているのかが一目で分かりやすくなり、複雑なプロンプトもすっきりと理解できます。

再利用性と編集の容易さ

項目ごとに整理されているため、「服装」だけ、「背景」だけといった特定の要素を簡単にコピーしたり、修正したりできます。

「あのキャラクター設定を流用したい」という時も、該当する subject: のブロックをごそっとコピーしてくればOK。大幅な時間短縮になります。

パラメータ管理の効率化

試したい画風や色、ライティングなどを style:lighting: といった項目で管理できます。

例えば、複数のスタイル候補をリストにしておき、順番に差し替えて試す、といった体系的な実験が容易になります。これは、”Expressive Chips”で試したい要素を事前に整理しておくのにも役立ちます。

アイデア整理のツールとして

頭の中にある漠然としたイメージを、まずはYAML形式で書き出してみるのもおすすめです。「どんな被写体で?」「どんな雰囲気で?」「場所はどこ?」といった要素を項目別に書き出すことで、具体的なプロンプトに落とし込みやすくなります。

(おまけ)バージョン管理

試行錯誤の過程をYAMLファイルとして保存しておけば、「やっぱり一つ前の設定が良かった」という時に簡単に戻せます。テキストファイルなので、Gitなどのバージョン管理システムを使えば、より高度な管理も可能です。

実践!YAMLを使ったプロンプト作成例

百聞は一見に如かず。実際にYAMLでプロンプトを整理する例を見てみましょう。

基本的な書き方
  • 項目名(キー)の後にはコロン : と半角スペースを入れます。
  • 値(内容)を記述します。
  • 階層構造はインデント(通常は半角スペース2つか4つ)で表現します。
  • リスト(複数の要素)はハイフン - を使います。

例1: シンプルな人物像

元のプロンプト

a photorealistic portrait of a young woman with long brown hair, wearing a red sweater, smiling, soft natural light, blurred park background

YAML形式での整理例

# プロンプトの構成要素を分解
subject:
  type: young woman
  hair: long brown hair
  clothing: red sweater
  expression: smiling
style:
  type: photorealistic portrait
  lighting: soft natural light
background: blurred park
negative_prompt: # 除外したい要素
  - blurry
  - low quality
YAML

例2: 複雑なシーン描写

元のプロンプト

epic fantasy landscape, a lone knight in silver armor standing on a cliff overlooking a valley, dragon flying in the distance, dramatic sunset lighting, oil painting style, detailed brushstrokes

YAML形式での整理例

# シーンの詳細を項目分け
scene:
  setting: epic fantasy landscape
  main_element:
    type: lone knight
    details: in silver armor, standing on a cliff
    action: overlooking a valley
  secondary_element: dragon flying in the distance
style:
  type: oil painting
  lighting: dramatic sunset
  details: detailed brushstrokes
negative_prompt:
  - photorealistic
  - modern elements
  - text
YAML

応用編:参考画像をAI分析!ChatGPTとYAMLでプロンプトのヒントを得る

YAMLでプロンプトを構造化するメリットは、ゼロからプロンプトを作る時だけではありません。すでにある画像を参考に、新しい画像を生成したいと思ったことはありませんか?

「この写真の雰囲気、すごく好きだな…」
「このイラストのキャラクターだけ変えて、似たような絵を作れないかな?」

そんな時、参考画像の要素を正確に言葉で表現するのは意外と難しいものです。ここで、ChatGPTのような画像分析能力を持つAIYAMLを組み合わせることで、プロンプト作成の強力なヒントを得るワークフローが実現できます。

ワークフローの概要

  1. 参考画像をChatGPTに入力
    画像をアップロードし、分析を依頼します。
  2. YAML形式での出力を指示
    ChatGPTに、分析結果をYAML形式で構造化して出力するように頼みます。
  3. YAML出力をレビュー&編集
    AIが生成したYAMLを確認し、必要に応じて修正・追記します。
  4. YAMLからImageFX用プロンプトを作成
    編集したYAMLを元に、ImageFXに入力するプロンプトテキストを組み立てます。

ステップ1:ChatGPTによる画像分析とYAML出力

まず、参考にしたい画像をChatGPT(特に画像認識機能を持つGPT-4など)にアップロードします。そして、次のような指示(プロンプト)を与えます。

YAML
この画像を分析し、主要な要素(被写体、背景、スタイル、雰囲気、構図、色使い、ライティングなど)をYAML形式で詳しく出力してください。ImageFXのプロンプト作成の参考にしたいです。

このように、「YAML形式で」「詳しく」「ImageFXの参考に」といったキーワードを入れることで、より目的に合った構造化された分析結果を得やすくなります。

ステップ2:YAML出力のレビューと編集

ChatGPTは画像から多くの情報を読み取り、YAML形式で整理してくれます。

image:
  scene:
    setting: "オフィス"
    overall_impression: "明るく、清潔感のある室内。書類やパソコンなどが散らばった業務空間"
    lighting: "室内照明による明るい光"
    depth_of_field: "手前の女性は鮮明、後ろの人物やオフィス背景はややボケ気味"
  
  main_person:
    description:
      gender: "女性"
      age_range: "成人"
      posture: "立っている(軽く横向き)"
      expression: "笑顔"
      gaze_direction: "カメラを見ている"
    clothing:
      top: "淡い水色の長袖トップス"
      bottom: "黒いスカート"
      accessories:
        - "首から下げたIDカード/名札"
    props:
      holding_item: "書類またはファイルを手に持っている"
    appearance:
      hairstyle: "短めのヘアスタイル"
      overall_impression: "ビジネスカジュアル、清潔感のある服装"
  
  background:
    people:
      - person1:
          description: "男性。背景で立ちながら何かを探している、あるいは作業している様子"
          visibility: "ピントが甘く、ややぼかされている"
      - person2:
          description: "女性。机に向かって座り、パソコンを操作しているように見える"
          visibility: "後方で作業しており、はっきりと写っていない"
    objects:
      - "複数のデスク"
      - "パソコン(デスクトップ)"
      - "書類やファイルが積まれている"
      - "ペン立てや文房具"
    overall_layout: "オフィスの奥行きが感じられ、複数人がそれぞれのデスクで仕事をしている"
  
  atmosphere:
    work_environment: "オフィス業務中の自然な様子"
    mood: "活気がありつつも落ち着いた雰囲気"
  • 不正確な点の修正
    AIが誤認識している部分があれば修正します。
  • 不足情報の追記
    あなたが特に重要だと考える要素(例: 特定の質感、微妙な表情など)が抜けていれば追記します。
  • 不要な要素の削除
    新しい画像では再現したくない要素があれば削除します。
  • 変更点の反映
    参考画像をベースにしつつ、変更したい点(例: 「被写体を猫から犬へ」「背景を昼から夜へ」)があれば、このYAML上で修正します。

この段階で得られるYAMLは、単なるAIの分析結果ではなく、あなたの意図が反映された新しい画像生成のための設計図となります。

ステップ3:YAMLからImageFX用プロンプトへの変換・さらに修正

レビューと編集が完了したYAMLデータを元に、前述した方法(各項目の値を組み合わせてテキスト化)でImageFX用のプロンプトを作成します。

A bright, modern office setting with multiple desks and computers in the background, where a confident adult woman stands in the foreground.

She has a neat, short hairstyle, wears a light-blue long-sleeved top with a black skirt, and an ID card around her neck.
She smiles warmly while looking toward the camera, holding a file folder in one hand.

Behind her, a few coworkers (both male and female) are working at their desks or standing, slightly out of focus.

The scene feels lively yet organized, with documents and office supplies scattered around, creating a natural, busy work environment. Photorealistic details, crisp lighting, and a professional atmosphere.
YAML

YAMLで修正をしていく

理想の画像で出力できなかった場合、YAMLでのメリットが発揮されます。

と、いうようにYAML形式で視覚要素を細分化しておくと、今回のように「国籍」という要素を追加したり、また、「服装を変えたい」と思ったときや、髪型や年齢を変えたいと思ったときに、該当部分だけ修正することができます。

このアプローチのメリット

  • 言語化が難しいニュアンスの抽出
    自分では言葉にしにくい雰囲気やスタイル、構図などをAIが言語化・構造化してくれるため、プロンプト作成の大きな助けになります。
  • 詳細なプロンプトの出発点
    複雑なシーンや要素の多い画像を参考にしたい場合でも、詳細な記述のベースが得られます。
  • 効率的なバリエーション作成
    参考画像のYAMLを少し編集するだけで、「似ているけど、ここが違う」画像を効率的に生成しやすくなります。
  • この機能を利用するには、ChatGPT Plusなどの画像入力に対応したプランやモデルが必要です。
  • AIの分析精度は画像によって異なります。必ず人間がレビューし、編集するステップが必要です。

参考画像を「見る」だけでなく、「AIで分析」し、「YAMLで構造化」することで、あなたのImageFXでの画像生成はさらにクリエイティブで効率的なものになるでしょう。

YAMLデータをImageFXでどう使うか?

重要な点として、現時点(2025年4月)では、このYAMLファイルを直接ImageFXに読み込ませる機能はありません。 YAMLはあくまで、プロンプトを整理・管理するための設計図として使います。

具体的な使い方は以下のようになります。

  1. テキストエディタ等でYAML形式でプロンプトを整理・記述する。
  2. YAMLの各項目の値(内容)を組み合わせて、最終的なプロンプトテキストを作成する。 (例1なら、「young woman, long brown hair, red sweater, smiling, photorealistic portrait, soft natural light, blurred park background」のように、必要な要素を繋げる)
  3. 作成したプロンプトテキストをImageFXの入力欄に貼り付ける。

または、

  1. YAMLファイルを「指示書」として手元に置く。
  2. ImageFXのインターフェース上で、YAMLの項目に対応するようにテキストを入力したり、”Expressive Chips”を選択・調整したりする。

どちらの方法でも、YAMLで構造化しておくことで、プロンプトの全体像を把握しやすくなり、修正や調整が格段に行いやすくなります。

まとめ:YAMLでImageFXをもっと快適に!

ImageFXは非常にパワフルな画像生成ツールですが、そのポテンシャルを最大限に引き出すには、プロンプトの効果的な管理が鍵となります。

YAMLでの管理に慣れてきたら、以下のような応用も可能です。

  • テンプレート化
    よく使うキャラクター設定やシーン構成をYAMLテンプレートとして保存しておく。
  • 部品化
    「サイバーパンク風スタイル」「水彩画タッチ」のような頻出スタイルを個別のYAMLファイル(スニペット)として保存し、必要に応じて組み合わせる。
  • 共有
    チームやコミュニティでプロンプトを共有する際、構造化されたYAMLファイルなら、意図が伝わりやすく、再利用もしやすい。

もしあなたが「なかなか思った通りの画像にならない」「プロンプトの管理が煩雑だ」と感じているなら、ぜひ一度YAML形式でのプロンプト整理を試してみてください。

  • プロンプトが構造化され、見やすく、理解しやすくなる。
  • 修正や再利用が簡単になり、試行錯誤の効率が上がる。
  • 結果的に、よりイメージに近い画像を生成しやすくなる。

最初は簡単なプロンプトからで構いません。YAMLという整理術を取り入れることで、あなたのImageFXライフがより快適で、創造的なものになることを願っています。

さあ、テキストエディタを開いて、あなたのアイデアをYAMLで整理してみませんか?